ムダに税金払ってませんか?配当所得を知って賢く節税

【1】配当所得とは

所得税法では、所得を10種類に分類していて、それぞれの性質にあわせて税額の算出方法が定められています。

配当所得は、その10種類に分類されたもののひとつで、以下の所得のことをいいます。

・法人から受ける剰余金の配当、利益の配当

・剰余金の分配

・金銭の分配

投資信託の収益の分配(公社債投資信託および公募公社債等運用信託を除く)

・特定受益証券発行信託の収益の分配

 

【2】配当所得の課税方式(総合課税)

配当所得は、通常は他の所得と総合して課税されます。なお、上場株式等の配当所得(発行株式総数3%以上を保有する株主を除く)については、確定申告をする場合に、総合課税の他に申告分離課税を選択することができます。

申告分離課税を選択した場合には、申告する上場株式等の配当等にかかる配当所得の全額についてしなければなりません。

また、申告分離課税を選択した上場株式等の配当等にかかる配当所得に関しては、配当控除を適用することができなくなります。

特例として、上場株式等の配当については確定申告しなくてもよいことになっていますが、確定申告をした方が税額が抑えられる可能性もあります。

 

【3】配当所得金額の計算方法

配当所得は、収入金額から株式などを取得するための借入金利子を引いて算出します。

数式にすると以下の通りです。

配当所得=収入金額-株式などを取得するための借入金の利子

 

【4】配当控除

総合課税を選択した国内法人の配当所得(申告分離課税を選択した場合を除く)については、一定の金額を所得から控除することが認められています。

 

 

 

 

 

 

 

 

利子所得ってどうなってるの?そんな疑問を一気に解決!

預金口座などに気づくと勝手に入っている受取利息。みなさん、それは所得税や住民税が差し引かれたあとの金額だって知っていますか?せっかく増えた大切なお金に、どのくらい税金がとられているのか、この記事で詳しく学習してみましょう!

 

【1】利子所得とは

所得税法では、所得を10種類に分類していて、それぞれの性質にあわせて税額の算出方法が定められています。

利子所得は、その10種類に分類されたもののひとつで、以下の利子や収益の分配のことをいいます。

・預貯金(銀行預金、郵便貯金、勤務先預金)の利子

・公社債の利子

・合同運用信託(金銭信託、貸付信託)の収益の分配

・公社債投資信託の収益の分配

・公募公社債等運用投資信託の収益の分配

 

ちなみに、利子所得のように見えて、実際は「雑所得」に分類されるものもありますので、次に示しておきます。

・法人の役員や退職者、従業員家族などが預けた勤務先預金の利子

・学校債、組合債の利子

・会社等に身元保証金としてお金を預けていた場合、それに対する利子

定期積金や相互掛金の給付補填金

・金貯蓄口座の分配金

国税通則法または地方税法に規定する還付加算金

・金銭の貸付による利子 

※ 金銭の貸付による利子は、「事業所得」になる場合もあります。

 

【2】利子所得の計算方法

利子所得は計算らしい計算はしません。収入金額がそのまま利子所得になるからです。つまり、事業所得や不動産所得のように、必要経費が認められないので、それらを収入所得から差し引くなどということもないのです。

また、証券会社を通じて購入した社債の直前の利払日から購入日までの経過利子を、別に支払うことがありますが、これは購入した社債の取得価額に算入することになっています。

 

【3】利子所得の税額の計算方法

01. 預貯金の利子

国内の銀行の利子や郵便局の利息は、原則として「20.315%」の税金が、あらかじめ差し引かれてから支払われることになっています。源泉分離課税ですので、利子所得については確定申告をする必要がありません。もっと言えば、確定申告できません。

税率の内訳

※復興特別所得税2037年まで適用

02. 特定公社債等の利子

特定公社債等の利子も、上記の預貯金等の利子と同じように算出でき、利子の支払いを受ける際に、税率20.315%により所得税・復興特別所得税・住民税が源泉徴収されます。確定申告をする場合には、申告分離課税の対象となりますが、確定申告しないことも選択できます。

確定申告を行う場合は、上場株式等の売却損失や公社債等の譲渡損失との損益通算が可能です。

03. 同族会社発行の社債の利子

同族会社が発行した社債の利子で、その同族家族の役員等が支払いを受けるものは、総合課税の対象となります。そのため確定申告が必要です。

また、同族会社が発行した社債の償還金も、同様に総合課税の対象となり、確定申告をする必要があります。

04. 外国の金融機関の口座の利子

外国の金融機関の口座の利子は確定申告が必要になります。

05. 非課税となる利子所得

利子のうち、小中学校、義務教育学校等の子ども銀行などの預金の利子や、納税準備金の利子、当座預金の利子(年利率1%を超えるものを除く)は、所得税・復興特別所得税・住民税がかかりません。

身近だけど意外と知らない所得税の種類|全10種

サラリーマンや個人事業主、アルバイトやパートにいたるまで、すべての働く人が一度は気にしたことがあるであろう所得税。今回はその所得の全10種類と所得の計算方法を簡単に説明します。

すべて読むと長くなりますので、必要に応じて読み飛ばしてもらえるとよいかと思います。

 

【1】所得税とは

所得税は、個人の所得に対して課される税金です。「収入」と「所得」という言葉を同じものと感じている方もいるかもしれませんが、税法上は「収入」から経費を差し引いた利益のことを「所得」と呼んでいます。

 

【2】所得の種類

所得というと一般的なものは給与所得が第一に思い浮かびますが、実は全部で10種類もあります。

01. 利子所得

01-1. 利子所得の種類

利子所得は、以下の利子や収益の分配のことをいいます。

・預貯金の利子

・公社債の利子

・合同運用信託の収益の分配

・公社債投資信託の収益の分配

・公募公社債等運用投資信託の収益の分配

01-2. 利子所得の税額の計算方法

利子所得は、その支払を受ける際に利子所得の金額に課税されます。ちなみに、利子所得の所得税源泉分離課税の対象となるため、確定申告などは不要です。

例えば、利子所得の金額が30円の場合、計算方法は以下の通りです。

利子所得の税額=利子所得の金額×(所得税率+復興特別所得税率+住民税率)

       =30×(15%+0.315%+5%)

       =6円

より正確にいうと所得税・復興特別所得税と住民税とでは端数処理の仕方が若干異なります。

所得税・復興特別所得税は50銭以下切り捨て、50銭超切り上げというルールなのに対し、住民税は1円未満切り捨てとなります。

02. 配当所得

02-1. 配当所得の種類

配当所得は、以下の剰余金や収益の分配のことをいいます。

・株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当

・剰余金の分配

基金利息

・人からの金銭の分配

投資信託(公社債投資信託・公募公社債等運用投資信託以外のもの)の収益の分配

・特定受益証券の収益の分配

02-2. 配当所得の算出方法

配当所得は、配当等の支払いの際に掲げる株式等の区分に応じて所得税等が源泉徴収されます。

また、原則として総合課税の対象となる所得として、確定申告の対象とされますが、上場株式等の配当等(大口株主等が支払を受ける上場株式等の配当金を除く)については、総合課税によらず、申告分離課税を選択することが可能です。ただし、申告分離課税の選択は、確定申告する上場株式等の配当所得の全額についてしなければならないので、その点は気をつけましょう。

配当所得の金額は、次のように計算します。

配当所得の金額=収入金額(源泉徴収税額を差し引く前の金額)- 株式などの取得をするための借入金の利子

03. 不動産所得

03-1. 不動産所得の種類

不動産所得は、次の3つの所得(事業所得、譲渡所得に該当するものを除く)をいいます。

・土地や建物などの不動産の貸付

・借地権など不動産の上に存する権利の設定および貸付

・船舶や航空機の貸付

03-2. 不動産所得の算出方法

不動産所得の金額は次のように計算します。

不動産所得の金額=総収入金額-必要経費

総収入金額には、貸付による賃貸料収入のほかに、次のようなものが含まれます。

・名義書換料、承諾料、更新料または頭金などの名目で受領するもの

・敷金や保証金などのうち、返還を要しないもの

・共益費などの名目で受け取る電気代・水道代や掃除代 など

また、必要経費として認められるものは、不動産収入を得るために直接必要な費用のうち家事上の経費と明確に区別できるものであり、主なものは次の通りです。

・固定資産税

・損害保険料

減価償却

・修繕費

04. 事業所得

04-1. 事業所得の種類

事業所得は個人が以下の事業を営む際に生じた所得のことをいいます。

・農業

・漁業

・製造業

・卸売業

・サービス業

・その他の事業

ただし、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は、事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得となります。

04-2. 事業所得の計算方法

事業所得の金額は次のように計算します。

事業所得=総収入金額-必要経費

総収入金額には、それぞれの事業から生じる売上金額の他に、次のようなものも含みます。

・金銭以外のものや権利、その他の経済的利益の科学

・商品を自家用に消費した場合や贈与した場合のその商品の価額

・商品などの棚卸資産について損失を受けたことにより支払を受ける保険金や損害賠償金等

・空箱や作業くずなどの売却代金

仕入割引やリベート収入

必要経費とは、収入を得るために直接必要な売上原価や販管費、管理費、その他費用のことをいい、具体的には以下のようなものがあげられます。

・売上原価

・給与、賃金

・地代、家賃

減価償却

05. 給与所得

05-1. 給与所得の種類

給与所得は、勤務先から受ける以下のような所得のことをいいます。

・給料

・賃金

・賞与 など

05-2. 給与所得の計算方法

給与所得の金額は次のように計算します。

給与所得の金額=源泉徴収される前の収入金額-給与所得控除

収入金額には、金銭で支給されるものの他に、給与の支払者から受けた次のような経済的利益も含まれます。

・商品などを無償または低い価額で譲り受けたこと

・土地や建物などを無償または低い使用料で借り受けたこと

・金銭を無利子または低い利子で借り受けたこと

給与所得は、事業所得などのように必要経費を差し引くことができませんが、その代わりに所得税法で定めた所得控除を給与等の収入金額から差し引きます。所得控除は次の7つがあげられます。

・通勤費

・職務上の旅費

・転居費

・研修費

・資格取得費

・単身赴任者の帰宅旅費

・勤務必要経費(図書費・衣服費・交際費等)

06. 退職所得

06-1. 退職所得の種類

退職所得は、退職により勤務先から受ける以下の所得などをいいます。

・退職手当

社会保険制度などにより退職に基因して支給される一時金

確定拠出年金法に規定する企業型年金規約または個人型年金規約に基づいて老齢給付金として支給される一時金

労働基準法第20条の規定により支払われる解雇予告手当

賃金の支払の確保等に関する法律第7条の規定により退職した労働者が弁済を受ける未払賃金

06-2. 退職所得の計算方法

退職所得の金額は、原則として、次のように計算します。

退職所得の金額=(源泉徴収される前の収入金額-退職所得控除)×1/2

ただし、確定給付企業年金規約に基づいて支給される退職一時金などで、従業員自身が負担した保険料、または掛け金がある場合には、その支給額から従業員が負担した額を差し引いた残額を退職所得の収入金額とします。

07. 山林所得

07-1. 山林所得の種類

山林所得は、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生じる所得をいいます。

ただし、山林を取得してから5年以内に譲渡した場合は、山林所得ではなく、事業所得か雑所得になります。

また、山林を土地付きで譲渡する場合の土地の部分は譲渡所得になります。

07-2. 山林所得の計算方法

山林所得の金額は、次のように計算します。

山林所得の金額=総収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)

総収入金額は、譲渡の対価となります。

なお、山林を伐採して自己の家屋を建築するために使用するなど、家事のために消費した場合は、その消費した時の時価が総収入金額に算入されます。

必要経費は、以下のようなものがあげられます。

・植林費などの取得費

・下刈費などの育成費

・維持管理のために必要な管理費

・伐採費

・運搬費

・仲介手数料などの譲渡費用 など

08. 譲渡所得

08-1. 譲渡所得の種類

譲渡所得は、一般に以下のような資産を譲渡することによって生じる所得をいいます。

・土地

・建物

・株式等

・ゴルフ会員権

・金地金

ただし、事業用の商品などの棚卸資産や山林の譲渡、使用可能期間が1年未満の減価償却資産や取得価額が10万円未満の減価償却資産、および一括償却資産の必要経費算入の規定の適用を受けた減価償却資産などの譲渡による所得は、譲渡所得に含まれません。

また、譲渡所得は短期譲渡所得と長期譲渡所得に分けられます。

短期譲渡所得は、所有期間が5年以下の資産を譲渡することにより生じる所得をいいます。ただし、自己の研究成果である特許権などは、所有期間に関係なく、長期譲渡所得となります。

長期譲渡所得は、所有期間が5年を超える資産を譲渡することにより生じる所得をいいます。

08-2. 譲渡所得の計算方法

譲渡所得の金額は、次のように計算されます。

譲渡所得の金額=譲渡益-特別控除額(最高50万円)

譲渡益=短期譲渡所得の総収入金額-(取得費+譲渡費用)+

    長期譲渡所得の総収入金額-(取得費+譲渡費用)

09. 一時所得

09-1. 一時所得の種類

一時所得には次のようなものがあります。

・懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除く)

・競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く)

・生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除く)や損害保険の満期返戻金等

・法人から贈与された金品(業務に関して受けるのも、継続的に受けるものを除く)

・遺失物取得者や埋蔵金発見者の受ける報労金

・資産の移転等の費用にあてるために受けた交付金のうち、その交付の目的とされた支出にあてられなかったもの

09-2. 一時所得の計算方法

一時所得の金額は、次のように計算します。

一時所得の金額=総収入金額-収入を得るための支出金額-特別控除額(最高50万円)

10. 雑所得

10-1. 雑所得の種類

雑所得は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のどれにも該当しない所得をいいます。

例えば以下のようなものがあげられます。

公的年金

・非営業用貸付金の利子

・副業にかかる所得(原稿料やシェアリングエコノミーにかかる所得等) など

10-2. 雑所得の計算方法

公的年金等の雑所得=収入金額-公的年金等控除額

事業にかかる雑所得=総収入金額-必要経費

その他の雑所得=総収入金額-必要経費

【区市町村税編】みんなはいくつ言えるかな?税金の種類をツリー図で解説!

税金と聞くと、兎にも角にもできる限り払いたくないものというイメージを持つ人が多いかと思いますが、まずはどんな税種が存在するのか視覚的に理解してみませんか?

このブログでは複数回に渡って、50種類以上ある日本の税金を、ツリー図にして解説していきます。税金の種類を知っていれば、払い忘れによる追加徴収を防げたり、自分にあった節税方法を考えることができたりするかもしれません。

さて、今回は前々回の国税編・前回の県税編に続く、区市町村税編となります。内容が被る部分も出てきますが、おさらいだと思って読んでいただけると嬉しいです。

 

 

 

【1】税金とは

国や地方に納めなければならないお金のことです。納税は国民の義務として日本国憲法第30条で定められているため、全く税金を納めずに生きていくということは、ほぼ不可能と言って間違いないと思います。

集められた税収は、暮らしのための公共施設やそこで働く方の人件費、皆さんが病気にかかった際の医療費、児童や学生の教育費など、さまざまなことに利用されます。

 

【2】税金を大きく区分けした時の種類

税金は大きく分けると2種類で、国税地方税に分類することができます。さらに地方税は県に納める県税と市区町村に納める市区町村税に分けられます。

税金を大きく区分けしたときのツリー図

【3】区市町村税とは

区市町村税は、区市町村で賦課・徴収している税金の総称です。区市町村"民"税というといわゆる住民税のことになるので、気をつけましょう。

 

【4】区市町村税の種類

区市町村税は、大きく分けると13種類あって、細かく分けると15種類になります。ただし、区市町村によって創設している税の種類が異なる場合があります。

図にまとめると以下の通りです。

区市町村税の種類

【5】各区市町村税の簡単な説明

01. 市町村民税/特別区民税

市町村が課す住民税のことです。県税編で出てきた道府県民税とあわせて、住民税と総称されることが多いです。

東京都の場合は、県民税にあたる部分を都民税、市町村民税にあたる部分を特別区民税と呼んでいます。

ちなみに「住民税」はあくまで総称であって、住民税という税種が実際に存在している訳ではありません。

01-1. 個人市町村民税

個人市町村民税は、収入がある人に対して課税されます。ただし、前年の合計所得金額や生活保護受給の有無によって課税か非課税かが変わってきます。

個人市町村民税は、さらに「所得割」と「均等割」の2種類に分けられます。所得割は、課税対象者の前年の所得金額に所得割の税率を乗じ、税額控除額を引いて算出します。均等割は、市町村にもよりますがほとんどの場合、一律で3,000円が課税されます。

01-2. 法人市町村民税

法人県市町村民税は、法人が事業所を置く市町村に納める税金です。個人市町村民税と似たような形で、さらに「法人税割」と「均等割」の2種類に分けられます。

法人税割は、法人税額に法人税割税率を乗じて算出します。法人税割税率は、各市区町村が原則自由に税率を定めてよいことになっていますが、国の定める標準税率を目安に設定されなければなりません。

均等割は資本金の金額をもとに決定します。資本金1,000万円以下の法人の場合、5万円が課税されます。法人税割は赤字であれば課税されないのに対し、均等割は一律で課税される点も覚えておきましょう。

また自治体によって独自の税種を設けている場合もあります。例えば横浜市であれば、横浜みどり税が市民税の均等割に年間900円上乗せされます。

02. 固定資産税

固定資産税は、土地、家屋、償却資産などの固定資産を所有している人に、その固定資産の評価額に応じて課税される税金で、都市計画税とともに納付します。

毎年1月1日現在、登記簿、土地補充課税台帳、家屋補充課税台帳、償却資産課税台帳に所有者として登録されている方が納税義務者となります。そのため、売買などによって固定資産の実際の所有者が変更となっている場合でも、1月1日現在、まだ登記簿などの名義変更手続きが完了していない場合は、旧所有者が納税義務者として税金を支払わなければなりません。

03. 軽自動車税

軽自動車税は、軽自動車の取得した人や所有している人に対して課される税金です。ちなみに、本来は市町村税に位置づけられていますが、当分の間は都道府県が賦課徴収等をおこなうことになっています。

03-1. 環境性能割

環境性能割は、三輪以上の軽自動車の取得者に対して課される税金です。新車・駐車問わず、取得価額が50万円を超える場合に課税され、取得価額に税率を乗じて算出します。営業用か自家用かで税率が変わってきますが、0.5%~2%となります。

03-2. 種別割

種別割は、毎年4月1日現在、市町村内に主たる定置場がある軽自動車等の所有者に課されます。そのため、4月2日以降に廃車や名義変更をしても、その年度分の税金は全額納付しなければなりません。県に納める自動車税の種別割とは異なり、月割制度はありません。

税額は軽自動車の種類や用途、排気量などによって決まります。例えば原動機付自転車で50㏄以下のものは、年額2,000円となります。

04. 鉱産税

鉱産税は、鉱物の価格を課税標準として、鉱物採取の作業場が所在する市町村において、鉱業者に対して課税される税金です。

1か月に採取される鉱物の価格が200万円以下の場合の標準税率は0.7%、200万円を超える場合は1%となります。

05. 事業所税

事業所税は、市区町村内に所在する事業所等において事業をおこなう法人または個人に対して課される税金です。

「資産割」と「従業員割」の2種類に分かれています。

05-1. 資産割

資産割は、地区町村内の事業所床面積の合計が1,000平方メートルを超える場合に課されます。事業所床面積(平方メートル)に600円を乗じて税額を算出します。

05-2. 従業員割

従業員割は、市区町村内の事業所等の従業員の合計数が100人を超える場合に課されます。従業者給与総額に0.25%を乗じて税額を算出します。

06. 都市計画税

都市計画税は、固定資産税の納税義務者のうち、毎年1月1日現在市街化区域内に土地・家屋を所有している人に課される税金で、固定資産税とともに納付します。

07. 水利地益税

水利地益税は、水利事業、都市計画法に基づいておこなう事業、林道事業その他土地または山林の利益となるべき事業の実施費用にあてることを目的としています。そのため、その事業によって特に利益を受ける土地または家屋に対して課税される税金です。

08. 宅地開発税

宅地開発税は、宅地整備に要する費用にあてるため、市街化区域のうち公共施設の設備が必要とされる地域内で宅地開発をおこなうものに課される税金です。

09. 国民健康保険税

国民健康保険税は、国民健康保険の徴収方法のひとつです。国民健康保険料と国民健康保険税の両方を課されることはなく、いずれかの支払いを自治体が選択する仕組みです。加入者はその自治体の指示に従って、どちらか一方を納めるということになります。

10. 市町村たばこ税

市町村たばこ税は、たばこの消費に課される税金のことです。1本あたり、0.82円が課税されます。

11. 入湯税

入湯税は、天然温泉を利用した場合に課される税金のことです。一般に1人1日150円が課税されます。しかし、これはあくまで標準の税額であり、実際は市区町村で自由に設定してよいことになっています。そのため、例えば温泉地として有名な別府市では、入湯税が25円と破格な税額設定になっています。

また、入湯税は温泉利用者なら誰でも課税される訳ではなく、以下の条件にあてはまる場合は免税となります。

・12歳未満、および12歳になって最初の3月31日までの間にある人

・大学を除く、教育を目的とした旅行や部活動などの行事に参加する生徒と引率者

  (添乗員やカメラマン、参観に来た補助者などは納税義務者となります)

・病気の療養を目的として継続的に入湯する必要があると認められた人

・社宅や社員寮などと提携し、日々の暮らしの中で浴場を利用している人 など

12. 宿泊税

宿泊税は、特定の地域にあるホテルや旅館などの宿泊施設に宿泊する際に、宿泊料金に応じて課税される税金のことです。市区町村が自由に決めることができるので、一口にまとめることは難しいですが、おおむね1泊100円~500円となっています。

【県税編】みんなはいくつ言えるかな?税金の種類をツリー図で解説!

税金と聞くと、兎にも角にもできる限り払いたくないものというイメージを持つ人が多いかと思いますが、まずはどんな税種が存在するのか視覚的に理解してみませんか?

このブログでは複数回に渡って、50種類以上ある日本の税金を、ツリー図にして解説していきます。税金の種類を知っていれば、払い忘れによる追加徴収を防げたり、自分にあった節税方法を考えることができたりするかもしれません。

さて、今回は前回の国税編に続く、県税編となります。内容が被る部分も出てきますが、おさらいだと思って読んでいただけると嬉しいです。

 

 

【1】税金とは

国や地方に納めなければならないお金のことです。納税は国民の義務として日本国憲法第30条で定められているため、全く税金を納めずに生きていくということは、ほぼ不可能と言って間違いないと思います。

集められた税収は、暮らしのための公共施設やそこで働く方の人件費、皆さんが病気にかかった際の医療費、児童や学生の教育費など、さまざまなことに利用されます。

 

【2】税金を大きく区分けした時の種類

税金は大きく分けると2種類で、国税地方税に分類することができます。さらに地方税は県に納める県税と市区町村に納める市区町村税に分けられます。

税金を大きく区分けしたときのツリー図

【3】県税とは

県税は、県が賦課・徴収する税金の総称で、県内に居住する人や事業所に対して県が課税します。ちなみに、県とは都・道・府と共に、地方公共団体の中で、最も広い範囲で市町村を包括する地方行政区画を言います。

【4】県税の種類

県税は県に納める税金のことです。大きく分けると12種類あって、細かく分けると18種類になります。

図にまとめると以下の通りです。

県税の種類

【5】各県税の簡単な説明

01. 道府県民税/都民税

都道府県が課す住民税のことです。市区町村税編で出てくる市区町村民税とあわせて、住民税と総称されることが多いです。

東京都の場合は、県民税にあたる部分を都民税、市町村民税にあたる部分を特別区民税と呼んでいます。

ちなみに「住民税」はあくまで総称であって、住民税という税種が実際に存在している訳ではありません。

 01-1. 個人県民税

個人県民税は、収入がある人に対して課税されます。ただし、前年の合計所得金額や生活保護受給の有無によって課税か非課税かが変わってきます。

個人県民税はさらに「所得割」と「均等割」の2種類に分けられます。所得割は、課税対象者の前年の所得金額に4%を乗じて算出します。均等割は、一律で1,500円が課税されます。

 01-2. 法人県民税

法人県民税は、法人が事業所を置く県に納める税金です。個人県民税と似たような形で、さらに「法人税割」と「均等割」の2種類に分けられます。

法人税割は、法人税額に法人税割税率を乗じて算出します。法人税割税率は、各都道府県が原則自由に税率を定めてよいことになっていますが、国の定める標準税率を目安に設定されなければなりません。

均等割は資本金の金額をもとに決定します。資本金1,000万円以下の法人の場合、2万円が課税されます。法人税割は赤字であれば課税されないのに対し、均等割は一律で課税される点も覚えておきましょう。

 01-3. 県民税利子割

県民税利子割は、県内に所在する銀行などの金融機関等の営業所等を通じて、利子等の支払を受ける個人に課される税金です。ちなみに平成27年12月31日までは、法人に対して支払われた利子等についても、県民税利子割が課税されていましたが、現在は課税対象から除外れています。

支払を受けるべき利子等の額に、5%を乗じて算出します。

 01-4. 県民税配当割

県民税配当割は、特定配当金等の支払を受けるべき日現在、県内に住所を有する個人に課される税金です。

支払を受けるべき配当金等の額に、5%を乗じて算出します。

 01-5. 県民税株主等譲渡所得割

源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡により所得を得た人で、当該譲渡にかかる対価当の支払を受けるべき日の属する年の1月1日現在、県内に住所を有する個人に課される税金です。

源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡による所得額に5%を乗じて算出します。

02. 事業税

事業税は、個人事業主や法人の所得に応じて課税されます。確定申告によって金額を決定します。

 02-1. 個人事業税

個人事業税は、個人事業主の所得に応じて課される税金です。所得税や住民税とは別で納めなければならないものです。確定申告をすれば概ね8月頃に、都道府県税事務所から納税通知書が郵送されます。

課税所得に業種によって異なる税率をかけて算出しますが、ほとんどの場合が5%の業種に当てはまります。

 02-2. 法人事業税

法人事業税は、法人が行う事業活動等によるの所得に応じて課される税金で、事務所や事業所が所在する都道府県に納めます。

資本金が1億円以下の法人の場合、特定の業種を除き、所得金額に原則3.5~7%の税率を乗じて算出します。

資本金が1億円を超えると、さらに「付加価値割」と「資本割」が加算される仕組みになっています。

03. 不動産取得税

不動産取得税は、土地や建物の購入、建物の建築、贈与などで不動産を取得した際に課される税金です。取得価額や登記の有無に関係なく課税されるので、注意が必要となります。

04. 自動車税

自動車税は、毎年4月1日の賦課期日に自動車を所有している人に対して課される税金です。

 04-1. 環境性能割

環境性能割は、自動車の燃費性能などに応じて課税される税金で、燃費のよい車ほど下税額が軽減される仕組みになっています。そのため、燃料電池自動車天然ガス自動車プラグインハイブリット自動車は非課税です。

課税対象である自動車の場合は、車両取得価格に1~3%の税率を乗じて算出します。

 04-2. 種別割

種別割は、自動車(軽自動車、二輪の小型自動車小型特殊自動車および大型特殊自動車を除く)の所有者に対して課税される税金です。

05. 鉱区税

鉱区税は鉱区に対して面積を課税標準として、鉱区所在の道府県において、鉱業権者に課される税金です。

06. 県固定資産税

県固定資産税は、資産の所有者の一定額以上の償却資産に対して課税される税金です。この税は本来は市町村税ですが、市町村の財政上の均衡を図る見地から県が課税しています。

07. 核燃料税

核燃料税は、原子力発電所の設置者に対して課される税金です。発電用原子炉に挿入された核燃料の価格の8.5~12%の税率を乗じて算出します。

08. 狩猟税

狩猟税は、狩猟の資格を得た人が狩猟者の登録をするときに課税されるものです。鳥獣の保護などの費用に充てられます。

09. 地方消費税

消費税は、消費一般に広く公平に課税される税金です。2019年10月1日から消費税として適用される税率は「標準税率(10%)」と「軽減税率(8%)」の2つに分かれました。

10. 県たばこ税

県たばこ税は、たばこの消費に課される税金のことです。1本あたり、1.07円が課税されます。

11. ゴルフ場利用税

ゴルフ場利用税は、ゴルフ場の利用に対して課税される税金のことです。収入の一部はゴルフ場が所在する市町村に交付されます。1人1日あたり200~1,200円が課されます。

12. 軽油取引税

軽油取引税は、軽油の取引等に対して課税される税金のことです。1リットルあたり、32.1円が課税されます。

【国税編】みんなはいくつ言えるかな?税金の種類をツリー図で解説!

税金と聞くと、兎にも角にもできる限り払いたくないものというイメージを持つ人が多いかと思いますが、まずはどんな税種が存在するのか視覚的に理解してみませんか?

このブログでは複数回に渡って、50種類以上ある日本の税金を、ツリー図にして解説していきます。税金の種類を知っていれば、払い忘れによる追加徴収を防げたり、自分にあった節税方法を考えることができたりするかもしれません。

 

 

【1】税金とは

国や地方に納めなければならないお金のことです。納税は国民の義務として日本国憲法第30条で定められているため、全く税金を納めずに生きていくということは、ほぼ不可能と言って間違いないと思います。

集められた税収は、暮らしのための公共施設やそこで働く方の人件費、皆さんが病気にかかった際の医療費、児童や学生の教育費など、さまざまなことに利用されます。

 

【2】税金を大きく区分けした時の種類

税金は大きく分けると2種類で、国税地方税に分類することができます。さらに地方税は県に納める県税と市区町村に納める市区町村税に分けられます。

税金を大きく区分けしたときのツリー図

【3】国税とは

国税は国が賦課・徴収する税金の総称です。あまり聞きなれないと思いますが、中央政府が賦課・徴収する中央税と言い換えられることもあります。

日本では、ほとんどの国税は税務署や国税局を通じて国税庁へ納付することになっていますが、一部の国税に関しては、関税や陸運局、法務局などへ納付します。

 

【4】国税の種類

国税は20種類以上から成っています。日常的に支払っているもの~全く支払わずに一生を終えるもの・一度も聞いたこともないようなものまで、たくさんの種類があります。

図にまとめると次の通りになります。

国税の種類

ここで簡単に直接税と間接税について話します。

01. 直接税

直接税は、納税するべき人と負担する人が同じものを指します。例えば、法人税は企業自身が課税所得に法人税率を乗じた金額を自ら納めます。この場合、税を納める人と負担する人が同じであるため直接税に分類されるということです。

会社勤めのサラリーマンの所得税は、この直接税のルールには若干そぐわないようにも感じますが、会社が従業員の所得税源泉徴収という形で預かり、それをそのまま納付するという流れなので、直接税として位置づけられています。

02. 間接税

間接税は、納税すべき人と負担すべき人が異なるものを指します。例えば、消費税を実質的に負担しているのは、最終的に商品を購入したり、サービスを受けたりする消費者となりますが、実際に納めているのはその商品を販売したり、役務を提供したりする業者となります。この場合、税を納める人と負担する人が異なるため間接税に分類されるということです。

上記の所得税と同じようにも感じますが、業者によっては消費税の免税が適用されることもあるため、消費者が負担した消費税が納税されないケースも存在します。そのため、直接税の意味合いが薄くなるため間接税として位置づけらけています。

 

【5】各国税の簡単な説明

01. 所得税

所得税は、1月1日から12月31日までの1年間の所得に対してかかる税金のことです。所得は年収のことではなく、収入から必要経費(会社勤めの方は給与所得控除)を差し引いた金額を指します。

02. 法人税

法人税は、法人の事業活動で得た所得に対してかかる税金のことです。資本金や課税所得の金額によって、税率が2段階(15% もしくは 23.20%)となるのが特徴です。また、主に国債費や社会保障関係費として使用されます。

03. 地方法人税

地方法人税は、法人税額に10.3%を乗じて算出します。法人税は税率が2段階であるのに対し、地方法人税は一律となります。また、地方法人税は各地方自治体に交付金として分配されます。

04. 特別法人事業税

令和元年9月30日までに開始する事業年度をもって、廃止された地方法人特別税が令和令和元年10月1日以後に開始する事業年度より、特別法人事業税が創設されました。

特別法人事業税は、基準法人所得割合額または基準法人収入割合額に、各自治体で設定されている標準税率を乗じて算出します。

05. 相続税

相続税は、亡くなった人からもらい受けた財産にかかる税金のことです。相続した財産が、「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」を下回った場合は、非課税となります。

06. 贈与税

贈与税は、他の人が所有している財産を無償で贈与してもらうときにかかる税金のことです。一定額以上の贈与を受けた人には贈与税が課されます。

07. 復興特別所得税

復興特別所得税とは、東日本大震災の復興のために創設された税金です。基準所得税額に2.1%を乗じて算出します。

08. 消費税

消費税は、消費一般に広く公平に課税される税金です。2019年10月1日から消費税として適用される税率は「標準税率(10%)」と「軽減税率(8%)」の2つに分かれました。

09. 酒税

酒税は、アルコール分1度以上の飲料にかかる税金のことです。税込み販売価格に各種類に応じて設定されている税率を乗じて算出します。

10. たばこ税

たばこ税は、たばこに課される税金のことです。1本あたり、6.802円課税されます。

11. たばこ特別税

たばこ特別税は、たばこに課される税金のことです。1本あたり、0.82円課税されます。

12. 揮発油税

揮発油税とは、温度が15度で比重が0.8017を超えない炭化水素油にかかる税金のことです。ガソリンの給油時にかかるものと言うとより分かりやすいかもしれません。1リットルあたり、本則税率分が24.3円、暫定税率分が24.3円課税されます。

13. 地方揮発油税

地方揮発油税は、揮発油税と同じくガソリンの給油時にかかる税金です。1リットルあたり、本則税率分が4.4円、暫定税率分が0.8円課税されます。

14. 航空機燃料税

航空機に積み込まれた航空機用の燃料に対して課税されるものです。1キロリットルあたり、26,000円が課税されます。

15. 石油ガス税

石油ガス税は、一定の液化石油ガスに対して課税されるものです。1キログラムあたり、17.5円が課税されます。

16. 石油石炭税

石油や石炭に対して課されるものです。石油および輸入石油製品は、1キロリットルあたり、2,800円が課税されます。ガス状炭化水素は、1トンあたり、1,860円が課税されます。石炭は、1トンあたり、1,370円が課税されます。

17. 自動車重量税

自動車重量税は、自動車の重量等に応じで課されるものです。車検証に記載の車両重量と新車登録時からの経過年数によって税額が決まります。普通車は、0.5トンごとに年間4,100円が課税されます。軽自動車は、車両重量に関係なく定額で年間3,300円課税されます。新車登録時から13年目以降になると金額が増加することにも注意が必要です。

18. 印紙税

印紙税は、契約書や領収書など、法令で定められた特定の文書に対して課されるものです。領収書の金額が5万円未満の場合は非課税となります。5万円以上の場合は金額に応じて印紙税が課されます。

19. 登録免許税

登録免許税は、登記を申請する際に課されるものです。税金は一般に、税務署か国税局に納めることがほとんどですが、登録免許税は法務局に支払います。登記の種類によって税額の算出方法が変わってきますが、例えば住宅家屋の所有権保存登記の場合は、法務局の認定価格に4%を乗じて算出します。

20. 電源開発促進税

電源開発促進税は、一般送配電事業者の販売電気に課されるものです。1,000kwhあたり、375円が課されます。なお、販売電気には一般送配電事業者が自ら使用した電気も含みます。

21. とん税

とん税は、外国貿易船が日本の港に入国する際に課されるもので、納税義務者は外国貿易船の船長です。開港への入港ごとに納税する場合は、純トン数1トンごとに、16円が課されます。開港ごとに1年分を一括で納付する場合は、純トン数1トンごとに、48円が課されます。

22. 特別とん税

特別とん税は、とん税と同様に外国貿易船が日本の港に入国する際に課されるものです。開港への入港ごとに納付する場合は、純トン数1トンごとに20円が課されます。開港ごとに1年分を一括で納付する場合は、純トン数1トンごとに60円が課されます。

23. 関税

関税は、海外からかってくる輸入品に対して課されるものです。課税対象価格に関税率を乗じて算出します。関税率は物品の種類と原産地の2つの要素によって決まってきます。

24. 国際観光旅客税

国際観光旅客税は、船や飛行機等で日本を出国するすべての人に課されるものです。日本人のビジネス・留学のための渡航や、訪日外国人観光客が帰国する際にも納税義務者生じます。1回の出国につき、1人1,000円が課されます。一定の条件に該当する場合を除き、年齢や国籍、と渡航手段、旅行代金などに左右されず、一律での課税となります。

【役員報酬の基礎】経費にできないってホント?!

会社法に定められた税務上の役員に対して支払われる報酬を「役員報酬」といい、一般社員の労働の対価として支払われる「給与」とは扱いが異なります。この記事では「役員報酬」について、相場や税務上のルールの基礎をサクッと学び、正しく損金算入できるように、しっかりと知識を身につけていきましょう。

 

 

【1】役員報酬とは?

役員報酬は"税務上の役員"に該当する人に対して支払われる報酬のことを指します。ここでいう役員とは、従業員として実際の業務に従事するのではなく、経営判断を下す・会社として責任を取るなど、経営陣としての役目を果たす側にいる人たちを指します。

また、社内外を問わず、役員に支給される報酬は役員報酬として扱います。非常勤などで支給頻度が少ない場合や支給額が小さい場合でも、役員報酬に含まれることにも注意が必要です。

なお、役員報酬は金銭により支払われるものだけでなく、同等の経済的利益をもたらすものも該当することを覚えておきましょう。

 

金銭以外の役員報酬の具体例:

・役員に無料で贈与された資産

・相場よりも極端に低い金額で役員に売り渡された資産

・役員に対する無利息での金銭の貸し付けや返済の免除

・役員の家賃の免除分や生命保険料の肩代わり分

 

【2】役員報酬の種類

会社法第423条で規定されている役員は次のとおりです。

 

・取締役

・会計参与

監査役

・執行役又は会計監査人

 

会社法第423条に規定されていませんが、団体で使用されることが多い「理事」や公益法人や協同組合で監督する役目である「監事」も役員に該当します。

 

【3】役員報酬の種類

会社が役員に支払うお金のうち役員報酬には以下の3つの種類があります。

01.定期同額給与

役員報酬を毎月同じ額に設定する給与のことです。ただし、実際には1年ごとに変更が可能となっています。変更する場合、新しい事業年度が始まってから3ヵ月以内に株主総会等で決議しなければなりません。

02.事前確定届出給与

役員の賞与に関する給与のことです。法人税法上、役員賞与は原則損金算入できません。例外として、あらかじめ所轄の税務署に届出をしておき、新しい事業年度の前に次期の賞与額を決めて届出に記載した額と同額を届出に記載した支給日に支給すれば損金算入できます。

03.業績連動給与

業績に連動して報酬が発生するようにできる制度で、基本的には有価証券報告書を提出しているような「上場企業」に限られます。非上場企業は「定期同額給与」か「事前確定届出給与」のいずれかしか使えないと言って良いでしょう。

 

【4】役員報酬の損金算入において注意すべきポイント

この記事のタイトルにあるように役員報酬は、損金算入ができない場合があります。役員報酬を正しく経費として損金算入するために、注意したいポイントを解説します。

01.期首から3ヵ月以内に決める

役員報酬の変更は、原則として期首から3ヵ月以内に決定しなければなりません。4月から3月が事業年度の会社であれば、6月までに株主総会を開催し、役員報酬を決定することになるのです。

役員報酬の改定自体が7月分からとなるのは問題なく、7月から翌年3月まで同一の報酬であれば、定期同額給与とみなされます。

02.業績悪化時は期中の変更が認められる

一度決めた役員報酬を、事業年度の途中で変えると損金算入ができなくなりますが、著しい業績の悪化に伴う減額の場合は、損金算入が可能です。

また、業績悪化していなくても、取引先の事業縮小が決定しており、今後大幅に売上減少が確定しているなど、客観的な業績悪化が判断できる状態であれば、損金算入は認められます。

03.高額すぎる役員報酬は損金算入できないことがある

法人税法施行令第70条には、損金算入のための要件を満たしていたとしても、不相当に高額な役員報酬については損金算入ができない可能性があると定められています。同業他社や自社の業績をもとに、合理的な金額を設定するように心がけてください。

 

【5】役員報酬の相場

役員報酬の相場は、創業期だと売上が未知数ということもあり、月額20万~30万円程度が多いです。一方、すでに売上が見込めている場合は、より高い役員報酬を設定する会社もあります。

2期目以降は会社の業績次第となります。月額100万円以上で設定することもあれば、役員報酬を抑えて会社にお金を残そうとすることもあり、経営陣の考え方や方針により異なってきます。

 

【6】まとめ

役員報酬所得税法人税がかかわってくる上、今後の会社経営にも大きく影響を与える重要な論点のひとつです。専門的な知識を持った顧問税理士の先生と相談し、中長期的な会社の成長も考慮しつつ、賢く決定しましょう。